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コラム

これからはんだ付けを始める方へ ~ソフトウェア屋が初めてはんだ付けをやってみた~ 第1回:はんだ、はんだごて

公開日:2024.10.18 更新日:2024.10.18

tag: 社員組み込み

私自身、ソフトウェア屋ということではんだ付けとは無縁の業務を行ってきましたが、最近ラズベリーパイを用いた開発を担当した際に、基板に電子部品を組み付ける必要があったため、はんだ付けを行うことになりました。
最初は何も分からず右往左往していましたが、実際にはんだ付けを行ってみるととても楽しかったです。
似た状況の方の役に立てれば嬉しいなと思い、初心者の方向けに、「はんだ付けを始めるには何が必要か」「色々種類あるけど何が違うのか」など今回から数回に分けて書いていこうと思います。
※本記事は「基盤へ電子部品を実装するはんだ付け」の為、金属などを扱う場合は勝手が違ってくるので、その点ご了承ください。

はんだ付けで必要なもの

はんだ付けを行うには以下のものが必要です。

  • はんだ
  • はんだごて
  • はんだごて台
  • はんだこて先
  • はんだ吸い取り線
  • フラックス

他にも作業によってはあったら便利なものもありますが、大体上記の6個でなんとかなります。
まず今回の「第1回」は、はんだ付けと言えば!という「はんだ」と「はんだごて」について説明していこうと思います。

~はんだ~

はんだは大きく分けて「鉛入りはんだ」と「鉛フリーはんだ」があります。

融点特徴
鉛入りはんだ183℃融点が低温であることから比較的安全に扱うことが出来る。
溶けた時に滑らかで接合面にするっと入っていく為、扱いやすい。
鉛フリーはんだ217℃所定の環境基準を遵守している。環境志向や輸出制限もある為、最近は鉛フリーを採用している企業も多くなっている。
鉛入りと比較すると溶けた時も滑らかにならない為、技術的に扱いが難しくなっている。

鉛は健康・環境にも影響がある為※1、「鉛フリーはんだ」を使用した方が良いです。
ただ、扱いが難しくなってしまうため、はんだ付けの練習やこれから始める方には「鉛入りはんだ」をオススメします。※2
※1 厚生労働省 https://kanairodo.mhlw.go.jp/worker/harmful/lead.html
※2 ※1の「鉛の体への影響と、取り扱う際の注意点」を確認して、対策をしてから使用してください。

鉛の違い以外にも「Φ1.0」「Φ0.6」など太さにも違いがありますが、個人的には「Φ1.0」をオススメします。
「Φ0.6」のように細い場合、大量にはんだを送りたいときに手元がブレる可能性があります。
反対にチップ抵抗など細かな部品を実装するときには「Φ0.6」ぐらい細くないと難しいです。

~はんだごて~

はんだごては大きく分けて「ニクロムヒーターはんだごて」と「セラミックヒーターはんだごて」があります。
それとは別に用途別や機能付きでは「温調式はんだごて」「コードレスはんだごて」「ステーション型・温調はんだこて」など5種類ほどになります。

種類画像 URL説明





ニクロムヒーターはんだごて
(温度調節無し)


https://akizukidenshi.com/catalog/g/g102536
【値段】
税込み:¥850
【説明】
・こてに穴が開いている見た目場特徴的
・ニクロムヒーターはこて先にニクロム線を巻いて加熱する方式の為、外側に熱が逃げてしまう
・コンセントに挿してからはんだが溶ける温度に達するまで時間(4~5分)がかかるが、後述のセラミックヒーターより熱容量がある為、金属などの接合に適している
【コメント】
ものによっては100円均一ショップ(ダイソー)では税抜き500円で販売されている為、安価で入手することが出来ます。軽くはんだ付けするには十分な性能の為、使う頻度が低い方や試しにはんだ付けをしてみたい方にオススメです。





セラミックヒーターはんだごて
(温度調節無し)


https://akizukidenshi.com/catalog/g/g102542/
【値段】
税込み:¥2,250
【説明】
・セラミックヒーターはヒーターをセラミックで包み内側から加熱する方式の為、熱が外側に逃げにくく構造になっており、ICなどの電子部品のはんだ付けに適している
【コメント】
コンセントに挿してからはんだが溶ける温度に達するまで時間は約1~2分程度で前述のニクロムヒーターに比べて短く、使い勝手が良いです。





温調式はんだごて


https://akizukidenshi.com/catalog/g/g114456/
【値段】
税込み:¥5,200
【説明】
・温度調節機能がついたはんだごて
・デジタル表記もあり現在の温度を確認しながらはんだ付けが行える
【コメント】
こて先の温度(例:200℃~500℃)を調整できるため、はんだ付けに最適な温度(350℃)の維持ができます。





コードレス
はんだごて


https://akizukidenshi.com/catalog/g/g114332/
【値段】
税込み:¥2,680
【説明】
電池式やガス式などがある、コードの無いはんだごて。
性能はセラミックヒーターはんだごて(温度調節無し)に近い。W(ワット)数も6W程度と出力が低い為、大きなものをはんだ付けするには不向き。
【コメント】
携帯性に優れるため、出先などで何か修理する必要になったときなどに便利です。





ステーション型
温調はんだこて


https://akizukidenshi.com/catalog/g/g114455/
【値段】
税込み:¥17,500
【説明】
・電源(制御部)、持ち手、こて先(ヒーター内蔵)が分かれているはんだごて
・持ち手の軽さ、精密な温調、熱回復性能がどれも優れており、用途は完全に業務用
・こて先を交換してからはんだが溶ける温度に達するまで時間は約5秒ぐらいで快適に作業が出来る
【コメント】
欲しい。。。でも高い。

試しにはんだ付けをしてみたい方には”ニクロムヒーターがオススメ”と記載しましたが、
これからしっかり練習してみようかなという方には”温調式はんだごて”を絶対的にオススメします。
温度調節機能が無いものはこて先の温度の調整が出来ない為、はんだ付けに最適な温度(350℃)の維持が難しく、詳細は「第2回」で説明しますが、温度が高くなりすぎてはんだ付けが難しくなってしまいます。
個人的な体感ですが、はんだ付けの上手さの7~8割は道具の質に依存すると感じています。。。
初心者ほど良いものを使用しましょう。


まとめ

これから始める方へのオススメは「鉛入りはんだ Φ1.0」「温調式はんだごて」

次回は 必要なものとして挙げた残りの「はんだごて台 ~ フラックス」について書いていこうと思います。

あとがき

始めてみるまで「はんだ付け」というと 電気のプロ! みたいなイメージがあって避けていたところもありましたが、いざやってみると案外面白くて、はんだ付けをしたいためにジャンク品を買ってみることもしばしば。。。

初心者レベルの技術でも日常生活で便利なことが たま~に あります。
最近は長く使っているゲームコントローラーのスティックが触れていないのに、勝手に反応するようになってしまい買い替えを検討しましたが、スティックだけを注文して自力で交換することで部品代300円ぐらいで直すことが出来ました。

はんだ付けを始めようか悩んでる。。。けどこの記事を見てくれた方! はんだ付け オススメです。

MOZU

休日はあてもなくドライブをしています。
車の改造はお金がかかる。。。

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